
「アースデイいのちの森」は、2009年のアースデイ=地球の日に合わせて、明治神宮の森の中を会場にして始まりました。この森の中で、生命の多様性やそのつながりを感じながら、母なる地球と、つながるいのちへの感謝の気持ちを捧げる祭りとして様々なプログラムが行なわれ、のべ約3000名が集いました。
この森は、91年前に365種、約10万本の全国から集められた献木で造られた人工の森です。その後の自然淘汰や鳥が運んだ種子によって、今ではすっかり武蔵野の一部となり、都会のど真ん中にありながらもオオタカを始めとする約50種の野鳥が棲息しています。欧米型の自然公園としてではなく、野生あふれる自然の森として再 生できたのは、日本人の持つ自然観ゆえに成し得た偉業であり、今後私たちが時間をかけて自然を再生していく上で、かけがえのないお手本となっています。また、この森からは、今でもこんこんと清らかな水が湧き出ており、それもこのいのち豊かな森があるゆえだと思われます。

本年は、国連の定める国際森林年にあたります。国土における森林比率で世界二位を誇りながら、木材自給率が三割にとどまっている私たち日本人の生活スタイルも、変革が求められています。自然と共存し、エネルギーを浪費せず、持続可能な暮らしを続けていくための知恵を出し合うことが今後は必要となる中で、いのち の森のみなもとである『鎮守の森』にも注目があつまることでしょう。
人々は気づき始めています。本当の豊かさとは何か。
今、この瞬間地球の裏側で流れているニュースを、私たちは簡単に知る事が出来ます。知り合いがいれば、すぐにメールを送信して語りかける事も可能でしょう。私たちを取り巻く環境は日々進化するテクノロジーにより、とても便利になりました。しかしそのスピードは益々速さ増し、それに伴い処理しなければいけない情報が 増え、あらゆる物が個別に持つ多様な時間軸を狂わせてしまいました。森が教えてくれるもの。それは、あらゆる多様な物を受容し、お互いを認め合い、自然の定めたルールの中で繋がり合う事の大切さではないかと感じます。世の中のスピードがどんなに速くなろうと、100年かかる森作りを10年に縮める事は出来ません。ど んぐりを土に植えれば、芽が出てちゃんとした苗木になるまで数年かかる。米は初夏に田植えをして秋に収穫をする。鳥は寒くなれば南下し温かくなれば北上する。それぞれがもつ時間軸はどんなに時が経っても変わる事はないでしょう。
「アースデイいのちの森2011」は、今年も隣接する代々木公園で行なわれる、国内最大級の市民主体の環境フェスティバル「アースデイ東京2011」と時を合わせて開催します。エコロジカルなマーケットとコンサート、市民活動アピールが中心の「アースデイ東京」に対し、「アースデイいのちの森」は宣伝・販売・アピー ル活動を極力行なわず、森の美しい自然を感じながら様々な表現を通して、母なる地球とつながるいのちへ感謝の気持ちを捧げ、美しい自然と共に生きる喜びを分かち合う“祭り”として行ないます。
この二つのアースデイは互いに異なる性格を持ち、相補う関係であると言えます。そして我々現代人もまた、都市での消費生活において、いのちの軸をしっかりと持ち続けることが求められているのではないでしょうか。消費といのち。これは両輪の関係です。全てを消費の対象にするTOKYOの中心で、消費できないかけがえの無 い体験を、今年も多くの人と分かち合いたいと思います。
