開催趣旨

私たちの頭上には宇宙が広がり、足下には私たちを育んでくれる地球が存在します。私たち人間は、この地球で共に生きるたくさんのいのちに支えられて生きています。私たちは、たった100年程度しか生きられないちっぽけな存在ですが、地球は、45億年ものあいだそんな私たちも含めて多様ないのちをつないでくれています。

常に成長すること、進化することを追い求め、日々進化するテクノロジーによりその成長を維持してきた戦後の日本。あらゆるもののスピードはますます速度を増し、それにともない処理する情報量が増え、その結果、様々な時間軸を狂わせてしまったように思います。私たち人間は、生きているのではなく、生かされている存在でしかない。2011年3月11日の東日本大震災が教えてくれた、そんな「いのちの本当」にもういちど気付きたい。

森の落葉樹は冬になれば葉を落とし、春になると再び初々しい柔らかな葉をつけます。大地に落ちたどんぐりは、ゆっくりと根を張り、芽を出し、何年もかけて再びドングリを落とす木に成長します。森には変わらない時間が存在し、その時間が再び私たちと地球をつなげてくれるように感じます。

「アースデイいのちの森」を開催する明治神宮の森は、世界的な大都市東京のど真ん中にありながらも、オオタカなどの約50種の野鳥をはじめ多種多様な生物が棲息し、在来種などもまだ残る貴重な森です。この森は、大正11年に全国から集められた365種、約10万本の献木などによって人工的に創られました。先人達が、100年後、更にその先という気の遠くなるような未来の人々の幸せを願いながら創った森でもあります。間もなく100年を迎えようとしている今、私たちは更なる100年先の子どもたちのための森を創造していくミッションがあると考えます。

「アースデイいのちの森」は、隣接する代々木公園で行なわれる、国内最大級の市民主体の環境フェスティバル「アースデイ東京」と時を合わせて開催します。エコロジカルなマーケットやコンサート、市民活動アピールが中心の「アースデイ東京」に対し、「アースデイいのちの森」は宣伝・販売・アピール活動を極力行なわず、森の美しい自然を感じながら様々な表現を通して、母なる地球とつながるいのちへ感謝の気持ちを捧げ、美しい自然と共に生きる喜びを分かちあうイベントです。この2つのアースデイのイベントは互いに異なる性格を持ち、相補う関係であるといえます。

100年、200年先のことを考え行動することは、私たちの日々の生活の中では非常に稀なことだと思います。しかし、私たちは次の世代、そのまた次の世代へといのちをつないでゆかなければなりません。そして、そんな私たちには既に様々な問題がつきつけられています。この森と向き合うことによって感じることが、人々の心に小さな種を蒔き、再び地球とつながることによって、大きないのちのつながりへとむかうきっかけになればと願っています。